夏の暑さと気温について

静岡(焼津)、鳥取、東京(居住地は千葉or埼玉)、北海道(旭川)、静岡(川根本町)と各地を転々として感じたことで、都市部(東京)の夏の暑さが大変だったことがあります。
関東で通勤しているときは、家から駅、駅から会社まで5~10分程度歩いただけで汗だくでしたが、川根本町では今年の最高気温が38℃を超えても、東京ほど苦しさを感じませんでした。
子どもの頃(静岡)でもそんなことはなかったので、なぜかな~?と気象庁の過去データから、その理由を探してみました。

■ダウンロードしたデータ
・場所:東京、静岡、川根本町、旭川、鳥取
・種別:最高気温、最低気温、平均気温、平均相対湿度、平均風速
・年数:1975~2016年の7月、8月(41年分) ※川根本町のみ1979年~

■最高気温
maxtemp02.jpg
41年間の平均値の順位
第1位:鳥取(31.3℃)
第2位:東京(30.3℃)
第3位:静岡(30.1℃)
第4位:川根本町(30.0℃)
第5位:旭川(26.3℃)
最高気温は鳥取が最も暑いという結果に。おそらく、中国山地を超えた熱風(フェーン現象)が襲ってくるためと考えられる。東京、静岡、川根本町はほぼ変わらない。
確かに鳥取は暑かったが、ワタシの感覚では、東京>鳥取>静岡>川根本町>旭川の順。

■最低気温
lowtemp01.jpg
第1位:東京(23.7℃)
第2位:静岡(23.3℃)
第3位:鳥取(22.5℃)
第4位:川根本町(20.6℃)
第5位:旭川(16.5℃)
東京が最も高い結果になったが、決定的な差ではないと思われる。

■平均気温
avetemp01.jpg
第1位:東京(26.6℃)
第2位:鳥取(26.36℃)
第3位:静岡(26.35℃)
第4位:川根本町(24.6℃)
第5位:旭川(20.9℃)
ここも東京が最も高い結果で、ワタシの感覚(東京>鳥取>静岡>川根本町>旭川)に一致したものの、東京、鳥取、静岡はほとんどかわらない感じ。

■平均風速
wind02.jpg
第1位:東京(3.1m/s)
第2位:鳥取(2.7m/s)
第3位:静岡(2.2m/s)
第4位:旭川(2.0m/s)
第5位:川根本町(0.7m/s)
東京が最も風が強い(ビル風があるから?)結果に。体感温度を下げる要素ではあるが、風の強さはあまり関係がないのだろうか?

■平均相対湿度
湿度が高い方が過ごしにくいという印象があるので、平均湿度のランキングを出してみると...
humidity02.jpg
第1位:旭川(77.0%)
第2位:静岡(76.9%)
第3位:鳥取(75.3%)
第4位:東京(72.7%)
※川根本町(データなし)
旭川が最も高く、東京が最も低いという意外な結果に。ただ、東京は平成26年12月に観測地点を移転(大手町→北の丸公園)していて、移転後2年間の相対湿度を見ると、最も高い値であったので、今後のデータに注目ですね。

■水蒸気量
湿度とは、大気中に含まれる水蒸気量の割合のことであるが、単位体積当たりの水蒸気量は気温が高いほどたくさん含むことができます。
つまり、気温によって含まれる水蒸気量が大きく異るため、湿度で比較するより、水蒸気量で比較した方が良いのではと考えられます。
<例>
・気温20℃、湿度70%→水蒸気量は12.04g/m3
・気温30℃、湿度70%→水蒸気量は21.21g/m3

以下の式より、水蒸気量を計算すると、
・飽和水蒸気量E=6.11^7.5×T/(T+237.3)
・水蒸気量(g/m3)=217×(E/(T+273.15))×H/100
※T:平均気温、H:平均相対湿度

41年間分の平均値の順位
第1位:静岡(14.24g/m3)
第2位:旭川(14.17g/m3)
第3位:鳥取(13.89g/m3)
第4位:東京(13.48g/m3)
※川根本町(データなし)
水蒸気量が1g/m3違うと体感的にどれだけ違うか分かりませんが、ここでも東京の順位が一番低くなりました。
結局、湿度や風速の値だけで暑さを測る基準にはならないと思われます。

■気温の件数カウント
ここまで、いくつかの項目を比較してみたものの、どこが暑いのかよくわからない結果だったので、他の要素を探してみました。
項目東京鳥取静岡川根本町旭川
最高気温30℃以上1580日
(60.7%)
1724日
(66.2%)
1491日
(57.3%)
1287日
(54.7%)
403日
(15.5%)
最高気温35℃以上133日
(5.1%)
365日
(14.0%)
108日
(4.1%)
168日
(7.1%)
4日
(0.2%)
最低気温25℃以上987日
(37.9%)
299日
(11.5%)
471日
(18.1%)
0日
(0%)
0日
(0%)
平均気温25℃以上1913日
(73.5%)
1823日
(70.0%)
1982日
(76.1%)
1061日
(45.1%)
250日
(9.6%)
平均気温28℃以上987日
(37.9%)
796日
(30.6%)
623日
(23.9%)
100日
(4.2%)
7日
(0.3%)

※東京、鳥取、静岡、旭川は2604日、川根本町は2353日分から

指定した気温以上の日数をカウントしたところ...
最高気温は鳥取が最も多く、東京、静岡、川根本町はそれほど大差ない結果が得られた。
ここで注目すべきは、東京の件数が多い、最低気温25℃以上(熱帯夜)、平均気温28℃以上である。
平均気温28℃というのは、熱射病による搬送数が増える気温で、体に影響を及ぼしだす基準の値ではないかと思われ、ワタシの感覚の(東京>鳥取>静岡>川根本町>旭川)の順にピッタリです。
東京、鳥取、静岡の平均気温はほとんど変わらないのに、最低気温25℃以上、平均気温28℃以上などに限ると大きな差が出てきてオモシロイですね。→ココが東京が最も暑いと思った理由になりそうですね。

これより、推測できたこととして、
・最高気温が高いだけの暑さは、数時間程度であれば、耐えることができる。
・ただ、夜も暑いとなると体がクールダウンできず、冷房ナシで寝ても、冷房を付けたまま寝ても体に負担がかかり、次の日の体調に影響を及ぼす。それが重なると東京は暑いものだと感じたり、さらには熱射病をもたらす。
・川根本町は、最高気温38℃になっても、過去40年の中で熱帯夜が1日もない場所であるため、体を休める時間を持てるのが大きい。鳥取についても熱帯夜の日数が少ないので同じことが言えそうですね。

■川根本町の最低気温が低い要因
kawanehon.jpg
大井川が流れる谷底に位置し、周囲は山に囲まれた地形であるため、太陽に照らされる時間が短いことが考えられます。大井川から1km離れると500mほど標高が変わる場所が多く、平野の場合と日の出、日没の時間が2時間近く変わります。また、山間部によく見られる夕立もよくあり、昼間の暑い気温の低下に役立っていると思います。
この夏も、基本的に冷房なしで寝ることができました。その分、冬も寒そうです...

このようなことから、都市部ではヒートアイランド現象による夜の気温を下げることが夏の過ごしやすさにつながると思います。建物や自動車からの人工排熱の抑制、公園・緑地の整備などが対策ではないでしょうか。


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