大井川鐵道井川線(アプト式)に乗車してきました

大井川鐵道といえばトーマス・SLが超有名ですが、他に大井川鐵道井川線(アプト式列車)というものがあります。千頭~井川間の断崖絶壁を縫うように進む鉄道です。
井川線は、ワタシが小学校のとき、30年くらい前に1度乗ったことがありますが、そのころはミニSLで、アプト式列車の乗車は初めてです!
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井川線は、大井川鐡道本線のさらに奥に位置します。

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拡大すると、等高線がぐちゃぐちゃで難所続きなのがよくわかりますね。
その中を進む全14駅の路線であります。
※接阻峡温泉~井川間は崩土のため、現在運休中です。2017年再開予定となっています。

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アプト式については後ほど説明するとして、こんな列車です。車両が小さく、とてもかわいいです。
軌間(1067mm)はJR在来線や大井川鐵道本線と同じですが、開通を早めるためにトンネル断面を小さくしたことにより、車両は幅1.85m、高さ2.7mというサイズ。

■概要
距離:25.5km
標高差:398m
時間:107分
トンネル数:61
鉄橋数:55

■大まかな年表をまとめると、
・昭和9年11月 着工開始 大井川発電所建設のため
・昭和11年10月 千頭~市代間開通
 大井川ダムの建設に伴う川狩り(木材輸送)補償。電力会社所有の貨物用鉄道
・昭和29年9月 市代~堂平間開通
・昭和34年7月 大井川鐡道が地方鉄道として管理、営業開始
・昭和46年4月 井川~堂平間休止
・平成2年 長島ダム建設により、市代~長島間が水没するため線路付け替え、アプト式を採用

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こちらは、休止となった堂平駅付近。駅といっても駅舎はなく、現在は散策路なので実質廃線になっています。
開通当時、井川へは自動車道も鉄道もなく、静岡市内から1日掛けて歩いていったため、井川線開通は、井川の人々にとって非常に画期的なものでした。

■乗車
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千頭駅から接岨峡温泉までの切符を買って乗車します。

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車内の様子。ボックス型とロングシート型の車両があります。
車掌さんのご案内を聞きながら、発車時刻まで写真を撮りながら過ごしています。

■発車

千頭駅9時12分定刻どおり、いよいよ発車時間です!発車準備から発車までの動画をどうぞ~

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両国吊橋の下を進んだり。

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お茶畑を眺めて。

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大井川(左)と寸又川(右)の合流地点へ。大井川はここから水量が増加し、川幅も一気に広がります。

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9時51分、アプトいちしろ駅に到着しました。

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ここで、車両の後ろにこのアプト式の機関車を連結します。
アプト式とは、カール・ロマン・アプトさんが発明した急勾配を上るための鉄道システム。
1800年代末ころからスイスやアメリカで実用されはじめ、日本では群馬県、長野県境の碓氷峠で1963年まで採用。現在、日本でこのアプト式列車に乗ることができるのは、大井川鐵道井川線だけです。
井川線は基本的にディーゼル機関車ですが、アプトいちしろ~長島ダムの区間のみ、電化されていてこのアプト式機関車が動きます。

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アプト区間には、このように線路の真ん中にラックレールという歯形レールがあり、これと機関車側にある坂道専用の歯車を噛み合わせて坂道を上り下りします。機関車側の歯車もよく覗けば見えるんですよ。

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連結作業の様子。

■急勾配をもつ鉄道比較をしてみました
鉄道名区間距離所要時間表定速度標高差最急勾配
大井川鐡道
井川線
千頭~井川25.5㎞107分14.3㎞/h398m90‰
箱根登山鉄道箱根湯本~
強羅
8.9㎞36分14.8㎞/h445m80‰
黒部峡谷鉄道宇奈月~欅平20.1㎞75分16.1㎞/h375m50‰
南海高野線高野下~
極楽橋
10.3㎞24分25.8㎞/h427m50‰
叡山電鉄二軒茶屋~
鞍馬
4.7㎞11分25.6㎞/h115m50‰

井川線は、距離に対する標高差はそれほどないのですが、このアプトいちしろ~長島ダム1.5kmの区間に89mの高低差があるために、アプト式を採用しています。

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このあたり、最も急勾配の区間。90‰(90パーミル 1km進むと90m登る)

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長島ダムをいろんな角度で見ましたが、井川線から見る長島ダムが一番キレイでしょうか。
長島ダムについては、7月に行ってきた見学ツアーのブログもご参考下さいませ!
http://kawanehon-chiikiok.seesaa.net/article/440634849.html 長島ダム見学ツア~

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10時03分長島ダム駅到着。アプト式機関車を切り離します。

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長島ダム駅のあとは、接岨湖を見ながら進み、奥大井湖上駅につながるレインボーブリッジまで来ました。
レインボーブリッジといえば、お台場ですが、お台場は1993年開通、こちらは1990年にアプト式鉄道と合わせて新設された橋なので、井川線のレインボーブリッジの方が先代ということになりますね。

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奥大井湖上駅は秘境駅として近年人気を集め、愛称として「奥大井恋錠駅」と名付けられました。
千頭駅などでは、奥大井恋錠の錠と切符のセットを販売しています。恋錠はこの駅に約3年間飾り付け、その後、良縁にご利益があるという「水川阿弥陀堂」に奉納されます。

※接岨峡温泉駅まで行く場合は、奥大井湖上駅で下りることができません。
 写真は別の日に撮影したものですので、ご注意ください。

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駅からはレインボーブリッジの上を歩くことができます。

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急な階段を上っていくと、エメラルドグリーンの接阻湖に浮かぶ奥大井湖上駅の有名な景色を見ることができます。

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10時22分、接岨峡温泉駅に到着しました。
ここからは、八橋小道の散策路、資料館やまびこ、接岨峡温泉があります。次のブログにまとめていますので、ご参考くださいませ!

http://kawanehon-chiikiok.seesaa.net/article/441375245.html 接岨峡散策(八橋小道と資料館やまびこ)

千頭から接阻峡温泉駅まで、クルマであれば20分程度で行けますが、井川線は15.5㎞を70分かけて進みます。このノンビリとした列車旅もたまにはいかがでしょう。
井川線は現在、接岨峡温泉から井川まで、崩土のため運行中止の状態が続いています。
この先は、接阻峡の最も急峻なところを進み、ここにある尾盛駅は奥大井湖上駅を上回る秘境駅で、さらに面白そうです。2017年には再開予定ですので、また乗ってみます。

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